HACCPコラム

食肉生産農場から流通市場に於ける現状と今後の課題

2020年4月1日
食肉生産農場から流通市場に於ける現状と今後の課題
【今年度のテーマ】
NO1~食品衛生法改正と畜産農場~
NO2~生産現場と流通市場の思いの格差~
NO3~生産現場の今後の課題~
NO4~流通市場の今後の課題~

皆さん、大変お久しぶりです。
ここ最近の時代の流れは速いですね~。目まぐるしく物事が進んでいます。
今回は上記NO1~NO4に付きましてお話させて頂きます。

NO1テーマ:食品衛生法改正と畜産農場

【食品衛生法改正 ※生産農場は関係ありません】
初めに、既にご存知かと思いますが、食品衛生法改正に伴い、食品業界に於かれましてはHACCPシステムの構築が制度化されました。
制度化されたとは言え、お店(調理加工)や加工処理施設の規模に応じて、その取組レベル(深さ)は異なります。
考え方:既存の食品安全の各工程を分かり易く可視化する。
原則:食品等を直接取扱う従業員数が50名以上(各事業所単位)の事業者はHACCPに基づく衛生管理の構築。
それに当てはまらない小規模事業者(工場隣接の直売所含む)はHACCPの考え方を取入れた衛生管理の構築をする。
全ての営業者は食品衛生責任者を任命する事とされている。
国は認証取得を指示している訳では御座いません。
取得するか否かは施設、お店側の自己判断です。必要としている事は、衛生管理計画書の作成とその内容の実施と記録、定期的な検証を指示しております。
衛生管理の実施はこれまでと同様に営業許可の更新時や保健所の定期的な立ち入り検査のタイミングで食品衛生監視員が確認します。
管理に不備が有れば
①口頭、書面などで改善指導
②改善しなければ営業の禁停止などの行政処分
③従わなければ懲役、罰金の可能性が有る。
私も食品衛生指導員として様々なお店に伺いますが何をどの様に手を付けたら良いのか分からないと言うお店が殆どでした。

【生産農場  ※衛生管理の高い生産農場が増えている】
その様な中で私が携わっております畜産農場の方がHACCP(農場HACCP)の認識度は高いのではないかと思いました。それは何故でしょう。
2000年頃からの食品事故からです。
サルモネラ、大腸菌、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、等の
人への影響が有る食中毒問題、家畜伝染病による畜産業界への影響、製品加工工程での偽装問題等、
一気に噴き出して来、時を経て今日に至っているからです。
当時、日本の食材、食品は世界で1番安全であると誰もが信じて来た中で、
様々な問題が立て続けに起きた事で一瞬にしてこの神話が壊れてしまいました。
そこから国は1次産業の信頼を回復する為に取組んで来た訳です。
その一つがHACCPシステム(農場HACCP)の構築支援です(詳しくはまたの機会に致します。)
今はJGAP(畜産)もその一つです。
残念ながら全てとは、まだまだ言えませんが大手畜産農場に於かれましては高い意識の元で
「食の安全」と消費者目線に立った「食の安心と信頼確保」の為の努力をし始めて来ております。
(HACCPシステム構築内容につきましては、またの機会に致します。)
それは並々ならぬ努力で有りますが、その先には常に消費者を見ながら自らの使命(安全な畜産物/原材料の供給)を意識し取組んでいる生産は少なく有りません。
消費者の皆様方はご存知でしたでしょうか?殆どの方々は、知らない事です。
確かにまだまだ実施農場は少ないですが、生産農場は今後もその努力を行い続け、更に1件でも多くの生産農場がHACCPシステムの構築に取組まれる事でしょう。
世界の目線で考えた場合、それは当たり前の取組みと成っております(※GMP,ISO,SQF等はHACCPシステムが確り活かされているスキームです)
消費者およびその関係団体の方々で農場HACCPや畜産のJGAP構築農場にご興味が御座いましたら私までご連絡下さい。
※共立製薬(株)090-8861-6528藤巻哲也(筆者)

食品衛生法改正により流通に於けるHACCPシステム、衛生管理計画の意識が高く成るにつれて
受入先へのハザード管理、リスク評価は今後、非常に高く意識される時代と成るでしょう。
次回はNO2 生産現場と流通市場の思いの格差

国際HACCP同盟リードインストラクター
農場HACCP審査員
JGAP審査員補
藤巻哲也

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